June 06,2023 INTERVIEW

Inside HIGHLACT®
「PLA(ポリ乳酸)」でSHIPSオリジナル商品を作ってみた理由
〜SHIPSの仕掛け人に話を聞いてみました〜

日本を代表するセレクトショップSHIPSの2023年SS(春夏)コレクションから静かにでも着実に、トウモロコシ由来のPLA(ポリ乳酸)を取り入れたカットソー商品群がデビューした。メンズ、レディース合わせて10型のコレクションはどれもSHIPSらしいスタイリッシュでスタンダードなデザインだ。今回のInside HIGHLACT®では、PLA(ポリ乳酸)の導入を決定され、プロジェクトを率いていらっしゃる、生産管理部の矢澤崇部長(以下矢澤)と商品企画の高橋直樹主任(以下高橋)にお話を伺った。

──SHIPSのサステナブルファッション実現に向けた取り組みを教えてください。
 


 
矢澤:SHIPSのコンセプトがスタイリッシュスタンダードなので、商品自体のベースはそこからぶらさず、SHIPSらしいブランドの中で、今の時代にあった素材を選びながら取り組んでいきたいと思っています。サステナブルということは、最近よく言われるようになってきたけれど、逆に「うたってない商品はサステナブルじゃないの?」ってなってしまう。だから、自分たちでちゃんとストーリーを伝えられるものを中心に、良い素材を随時取り入れながら展開していきたいと考えているところですね。

──今回PLA(ポリ乳酸)を素材として取り入れられた理由を教えてください。
 
矢澤:PLA(ポリ乳酸)自体は以前から知っていて、実際に素材を手にしたりする中で、価格が高くなってしまう点や、熱に弱いといった特長などを知って、やっぱり汎用性がない素材なのかなと考えていました。そんな時、ハイケムの高裕一取締役が商談にこられて、その時のお話に衝撃を受けたんです。ハイケムという化学メーカーさんが繊維業界に参入して「アパレルの産業革命みたいなことをやっていきたい」「ポリエステルの代替え素材としてPLA(ポリ乳酸)を」みたいな話をすごく熱く語っていらっしゃって、そのインパクトはすごかったです。

──高の話に共感いただいたのはすごくうれしいです!
 
矢澤:僕らの業界の人間とはまた全く違う切り口で、未来を見て話されていたのが印象的でした。それから、自分でもPLA(ポリ乳酸)について色々調べてみて、改めてこれは面白いかもしれないと考え、上層部も巻き込んで「次世代のPLA(ポリ乳酸)素材」というものを、SHIPSとしても取り組んでいこうということになりました。それから、MDや商品企画の高橋とも連携した全社を挙げたプロジェクトが動き出したという感じです。

──プロジェクトとして動いているんですね!?
 
矢澤:1回だけの取り扱いだと、売れなかったらこれで終わりとなってしまう。そうすると、お客様にお伝えしたことが一過性になってしまう。やっぱりこういったものは継続することが大事だと考えているので、今後も会社として取り組んでいこうと考えている案件ですね。

──PLA(ポリ乳酸)を商品化する際にこだわられた点を教えてください。
 


 
矢澤:SHIPSというブランドを通した時に、ある程度ベーシックなものでお客様に選んでもらいたいので、PLA(ポリ乳酸)をうたいながらも、比較的シンプルな商品づくりにこだわりました。PLA(ポリ乳酸)を使っているからお客様に購入していただくということではなく、あくまでSHIPSの商品にPLA(ポリ乳酸)が付随している、「ベーシックなSHIPSらしい服の中に、こういうエコなものが取り込まれている」的な感じを目指しました。

高橋:そうですね。「SHIPSのベーシックなカットソーといえばこういったスウェットのTシャツだよね。」とか、「こういったTシャツであれば、コンフォートジャケットにもあわせられるね」とか。そういうスタンダードなSHIPSらしいモノづくりを通して一過性なトレンドで終わらないようにすることを心掛けた感じです。

──店頭に出されてみて、お客様からの反応はいかがですか?
 


SHIPSから4月に発売開始された、HIGHLACT®(ハイラクト®)とコットンをブレンドしたTシャツ

 
矢澤:今回、SHIPSの春夏コレクションでは、ハイラクト®の素材を含めてPLA(ポリ乳酸)を使用した商品を10型ほど発表させていただきました。

実際販売してみて改めて感じたPLA(ポリ乳酸)の良さって、サステナブルな素材っていうこともそうなんですが、名前が『ポリ乳酸』だということ。正直「ポリ」の部分はよくわからないんですけど(笑)、「乳酸」の部分は、日頃よく耳にする「乳酸菌」などと関連づけることができて、「肌によさそう」なイメージを抱いてもらえる。素材自体が弱酸性で肌に優しいという特徴は、お客様ご自身が効果を実感できる重要な要素だと思います。そこは他のサステナブル素材との差別化になるのではないかと考えています。

特に今回は、カットソーのラインを中心にPLA(ポリ乳酸)の素材を展開しているので、肌に優しい部分だったり、抗菌性があるといったことだったりはお客様に伝わりやすいメッセージだと思います。

高橋:そうですね。商品を着て買ってもらってエコを実感してもらうというのももちろんなのですが、やっぱり、きちんと抗菌作用があって、データをとりながら今後の商品化に結び付けられるというのは、素材を扱っている側としてもメリットとして感じられるところかなと思います。

──SHIPSさんの、「未来を少し変える服」というキャッチフレーズはいいですね。
 
矢澤:SHIPSの社内でプロジェクトメンバーを組んで、PLA(ポリ乳酸)を打ち出す時に、前提として長く続けられる言葉がいいよねということになりました。そして、ハイケムさんとかとも話をさせてもらう中で、アパレルの繊維革命じゃないですけど、やっぱり僕らが着ている服って、ポリエステルって欠かせない素材なんですよね。そのポリエステルが代替の素材に置き換わったら、随分と未来変わってくるんじゃないか、なんか先に繋がるストーリーが感じられるのかなと考えて選んだフレーズです。
 

──今後の取り組みについて教えてください!
 

 
矢澤:僕らとしては、お客様にはあくまで洋服をSHIPSらしさで選んでいただき、その素材がどんどんPLA(ポリ乳酸)に置き換わっていくっていうイメージが理想だと思っています。

だから、ここはハイケムさんに頑張ってもらわないといけないところだと思うのですが、PLA(ポリ乳酸)のコスト的な部分と熱に弱いなどの素材の制約がもっとなくなれば、どんどん色々な商品に広げられるのかなと思っています。

──そうですね。ハイケムとしても、PLA(ポリ乳酸)の機能性を高める研究開発を自社でも進めています。またコストの部分についても中国のパートナー企業さんと一緒に今後の市場開拓を進めながら実現していかなければならないところだと思っています。
 
高橋:僕も仕事柄、ヨーロッパの素材なんかもたくさん見るのですが、ヨーロッパではサステナブル素材といえば、一律にリサイクル素材なんですよね。これも僕がPLA(ポリ乳酸)に興味をもった一つの理由なのですが、PLA(ポリ乳酸)って彼らにしてもまだまだ新しい素材。だから「PLA(ポリ乳酸)は日本から発信できる素材になりえる」っていう点はすごく共感させていただいたところですね。

──「中国の素材+日本の技術力で世界のマーケットへ」というのは、ハイケムとしても全力で取り組んでいくプロジェクトです。是非、今後も引き続きよろしくお願いします!
 

@SHIPS PRESS ROOM(編集:WTB編集部 写真:秋田夏虎)